NASUロング完走記
先日、参加して参りましたNASUロング(正式名称: 東北復興の架け橋 FUKUSHIMA-NASUロングトレイル『NASUロング』〜羽鳥、二岐、甲子、那須、板室〜)をすこし振り返ってみたいと思います。
レセプションパーティでコース説明を聞き、すこしだけビールを飲み、この日は近くの宿で一泊。9時ころには床につきましたが、なんだかソワソワしてなかなか眠れず…。
あっという間に朝を迎えてしまいました。これから100kmを走るという気持ちの整理もあんまりつかないまま、土曜日の朝5時にスタート。
高低図を見ると、大きい山を4つほど越えていくことになります。CP4までは各区間でひとつでかい山を越えていかないいけません。目標としては、各チェックポイント間を4時間ずつで走っていこうという感じ。一区間ずつ気持ちをリセットして、山登りをこなして行けばゴールに辿りつけるはず…。
◼︎スタート〜CP1
最初の区間は最も長い26kmであり、ロードと林道の割合が長いのでやや飛ばし気味に走りました。
最初のロードは登りがきつかったものの、林道に入ると下り基調でみんな快調に走っていました。
18kmほどまで走ったところで、登山道に入ります。ここから、600mほどの直登で二岐山に向かいます。
やはり登りは弱い…バンバン抜かれて行きます。
二岐山(女岳と男岳の2ピーク)を過ぎ、今度は一気に下ります。登りよりは下りの方が得意なので、登りで抜かれた分、ちょっとだけ追い上げます。
林道を数km走って二岐温泉で最初のCPへ到着!ここのタイムは3時間35分。無事、4時間を切って最初のエイドに辿りつけました。
エイドで名産の酒饅頭を食べてエネルギーを補給。
※余裕の無さと雨のおかげでこのあとほとんど写真ありません(笑)
◼︎CP1〜CP2
この区間は、前日のコース説明によると、UTMFでの天子山地に似ているらしい。NASUロングの一番の難所なのだとか…。
相変わらずの直登を登って行きます。やっぱりどんどん抜かれていくのですが、やや人がまばらになって来ました。
そして、この区間で雨が降り始めました。予報では夕方くらいから雨と言われてましたが、思っていたより早く雨が降りはじめ、元来の難コースを更に過酷なレースへと変わってしまいます…。
幾つかのピークを越えていくのですが、その度、がっつりの登り。地面もだんだんぬかるんできました。まだ体力に余裕があったからいいものの、這いつくばって登っていくのはなかなか辛い。
ピークに辿りついても、景色は真っ白(笑)
登りが激しければ下りも厳しい…。激下りを越えていくと、走れる九十九折が続くエリア。登りの遅さをまた下りで若干取り返します。
山を下ったあとのロードで、道の崩落箇所があり、迂回路を通って10kmほど延長になる予定でした。地元の人たちが大会に合わせて、急ピッチで仮橋をかけて下さったそうで、迂回せずに走れることになりました。
とても有り難いです…。復興支援の大会なのに、ランナーのほうが助けられっぱなしですね。
7時間24分で新甲子温泉キョロロン村のCP2を通過。
◼︎CP2〜CP3
しばらくクロスカントリーのコースを走り、赤面山に向かうトレイルに入ります。
ここの登りが私にとって一番レース中、心が折れそうになったエリアかもしれません。そろそろ疲れが出てきた状況で900mほどの登り。終わりがなかなか見えないうえに、後ろから来たランナーに抜かされていく。雨は降り止まず、トレイルはぬかるみに変わる。
途中、一緒に参加したサークルの方と会えたのが、孤独な気持ちの山で心の支えになりました。(以降、もっと孤独な状況に陥っていくのですがw)
山頂付近ではトレイルが見えないほどの藪をかき分け、笹の根だけに支えられたぬかるんだトラバースを越えてゆきます。
そして、下りはほぼ川。
途中までは、ぬかるみや水たまりを避けながら走っていたのですが、こうなっては諦めるしかないですね。バシャバシャと川下りです。そして、やっぱり私は下りでは調子がいいみたいです。
吊り橋を渡って、硫黄の香りが辺りを漂い始めたら、那須湯本が近い。
観光名所の殺生岩を通過してCP3の温泉神社へ。ここは去年、観光で来ていましたが、まさか走って来ることになるとは…。
CP3の到着タイムは11時間49分。この区間では4時間以上かかってしまいました…。
ドロップバッグを受け取り、補給食を詰め直して、ヘッドライトも装着。CPを発ったのが17時過ぎ、次の区間では確実に夜になってしまいます。
※なお、この先レース中の写真はなくなります(笑)
◼︎CP3〜CP4
この区間の登り途中で日が暮れ始め、ライトを頼りに進みます。日が暮れきらないにせよ、木々が生い茂り、道を見失いそうになります。この区間から明らかに周りのランナーがほとんど居なくなり、頼りにするものもない。かなり心細い!
800mの直登を登り切ると、牛ヶ首に到着。しかしながら、風を遮るものもなく、雨も打ち付ける。寒い。
頂上付近のエリアは元来、景色がいいらしいが、ガスで景色は見えないうえに、そろそろ日が落ちてしまう。南月山を越えて、下り始める。
しかしながら、酷いぬかるみに足を取られ、滑り、得意のはずの下りももはや走ることが出来なくなった。そして、幾度となくこけた。メンタル的にちょっと打ちひしがれました。
CP4の沼原(ぬまっぱら)には15時間42分で到着。エイドのミネストローネを頂く。暖かくてめちゃくちゃ美味しい。冗談抜きに、これ食べたら満足してしまって、ここで走るのをやめてもいいかとも少し思った(笑)
ただ、キツい登りはもうない。そして、「残り8時間なら完走は大丈夫!」とスタッフの方から激励も頂き、再度走りはじめました。
◼︎CP4〜CP5
このレース初めての下り基調のエリア。初めは少し登るが、ガシガシ下っていく。ほぼずっと一人旅。林道が長く終わりが見えない。下りでもなかなかペースが上がらず、前に進んでいる気がしない。
19時間00分でCP5に到着。到着したとき時刻はちょうど0時でした。時間の進み方が変な一日です…スタートした朝5時がちょっと前のような気もするし、途方もない過去のような気もしました。
◼︎CP5〜ゴール
最後のエリアを乗り切るため、カフェイン錠剤を投入。このために1週間カフェイン抜きで過ごしたようなもんです。真夜中のレースは幻覚を見せると言いますが、おかげで意識ははっきりとしてゴールに向かうことができました。
さて、最後の登りが意外と厳しい。これまでの登りと比べると大したことはないが、ときどき立ち止まってしまう。そして相変わらずの孤独。
登り切ってまた長い林道。あまりに孤独なため「わー」とかいいながら走ってました。
林道を越え、少しロードを走ったのち、最後のトレイルへ。このトレイルが、ぬかるみ、沢渡りのオンパレード。ここに来てなんだか楽しくなってきました。ライトだけで視界は良くないがガンガン突っ込んで走る。ぬかるみも滑る覚悟で突っ込み、ビショビショになりながら沢も越えていく。雨の打ち付けるなか90km以上走ってきて、我ながら意外と元気でした。
やっぱりロードが苦手で、最後2kmのロードはとぼとぼと。なんとか走るが、思ったほどのスピードは全く出ていない。やっと100km先のゴールに辿り着きました。
ゴールタイムは21時間43分でした。夜中の2時43分。全身ドロドロに汚れていました。
388人がスタートして、ゴールしたのは89人。最後まで自分が走りきれたのが不思議なほど、過酷なレースだったようです。そのときは結構辛かったのですが、終わって振り返ってみると、過酷さも含めて楽しいトレイルの旅でした。
また来年も走るか?と言えばちょっと悩みますけどね(笑)