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走ったこと感じたこと

日本の地形とコンパクト志向

雪で走れない週末、読書をしていました。今日のブログはランニングとあまり関係ありません。


この本は、インフラ関係の仕事を続けてきた著者が、インフラやそれと深く関わる地形・風土から、日本の歴史や文化を考察するというものでした。同じテーマで書かれた2冊目の著書のようです。1冊目も読んでみたくなりました。

この本の中では、日本が欧米の植民地にならなかった理由を、「資源の無さ、地震の多さ、進軍を防ぐ山と田んぼ」とすることに始まり、日本人が長寿となったきっかけの事件、小さな村だった横浜の発展の理由、利根川の治水工事の背景等々の考察を地形・インフラから論じて行きます。地形好き(地図好き?)の私にはたまらない本でした。人物を主役とする歴史ではなく、その背景にあるものを探ろうとするアプローチは「銃・病原菌・鉄」に通ずるものを感じます。

韓国人の李御寧氏が、1982年に書いた書籍『「縮み」志向の日本人』の中で、日本人の独特の考え方はあらゆるものを「縮め」ることにあると論じたそうです。ウォークマン、オートバイ、扇子、盆栽、おにぎり、俳句等々の日本人がつくったものは、まさにコンパクトに「縮め」られたものであり、こういった日本人の特徴と言える点と述べられています。小さいものをかわいい、と言い好むのも、ここに通ずる点です。李氏はこの日本人の志向の理由については分からないというが、本書の著者の竹村さんはこの理由に関して考察しており、日本人が江戸時代まで日本を歩く民族であったことに理由を見出しています。馬や牛に乗ったり馬車をひかせるには、起伏の激しい日本の地形が邪魔をします。人々は自分で荷物を背負って歩く、そのためには荷物はコンパクトに細工する必要があります。江戸時代以前はずっとそのような歩く生活をおくっていたため、縮み志向が日本人の考え方に根付いていったと論じています。言葉にもその痕跡は残り、細工してないものは「不細工」、詰め込めないものは「詰まらない」、と嫌がられる概念になりました。
 

ところで、余談ですが、小さなリュックに補給を最小サイズにして背負い、起伏の多い道を行くトレイルランニングは、日本人の先祖が日本列島を歩いたのをなぞる行為のような気がしてきました。理論の飛躍ですが(笑)